MENU

【合格体験記】10年迷った私が、簿記1級で抜け出した日記

保険会社から会計事務所へ転職して十年、年収は350万円のまま、税理士試験は一科目も受からないまま、簿記は二級止まり。毎年夏が終わるたびに、気力だけが抜けていきました。やり方を変えないと、来年も同じ夏になる。そう思って、私は税理士試験からいったん距離を取り、簿記一級に照準を合わせました。合格実績がほしい。自信を取り戻す土台がほしい。それがすべての理由でした。

  • 合格資格:日商簿記1級
  • 合格者:40代女性
  • 勉強時間:250時間

使用参考書

目次

行き詰まりの十年

保険から会計へ移ったときは、未知の世界に胸が高鳴っていました。けれど現実は、記帳と決算補助、申告書の数字合わせに追われる日々。夜は疲れ切って、テキストを開いても数ページで眠ってしまう。試験勉強は続けているつもりなのに、手応えが増えない。模試の結果表に並ぶ数字は、毎年ほとんど同じ位置で止まったまま。何が分かっていないのか、分からないまま十年が過ぎました。

方針転換という決断

結果の出ない努力を積み上げても、自己肯定感は削られていくばかりでした。そこで、合格までの距離が測りやすく、業務とも直結しやすい簿記一級を間の目標に据え直しました。自分で自分に、到達可能な階段をつくる。まずはこれを登り切る。その達成体験がないまま税理士試験を叩いても、きっと心が先に折れると分かったからです。

独学サポートとの出会い

通学は現実的ではない。でも独学だけではまた迷子になる。そこで、独学前提で計画と添削、質問対応を外部化できる独学サポートを選びました。入って最初に驚いたのは、勉強量よりも順番と粒度を徹底的に整えてくれたことです。収益認識から工事進行、引当金、税効果までを一本の道として示されると、テキストの断片が地図の上でつながって見えました。記述は定義、趣旨、要件、結論の骨組みを先に口で言えるようにしてから書く。答案がぶれなくなると、見直しの時間もちゃんと確保できるようになりました。

学びの再設計

朝の時間を守るために、寝る前のスマホをやめました。五時に起きて六時半まで机に座る。前半は仕訳から財務諸表までの通し練習、後半は弱点講義を短く視聴し、最後にその日の要点を自分の言葉でノートに一段だけ書く。昼休みは理論の骨子を小声で暗唱し、帰宅後は間違えた問題の原因と次の打ち手を一行で記録して終わりにする。分厚いまとめノートづくりは捨てました。正解でも根拠が言えなければ黄色信号。必ずテキストへ戻る。仕訳を切ったら必ず貸借の向こう側まで追う。この二つの約束だけは、どんな日にでも守りました。

試験当日

会場では周りの筆圧に飲まれないように、深呼吸を繰り返しました。難しい問題が見えても、配点は皆同じだと心の中で繰り返し、頻出論点で取り切ることに集中する。商簿と会計学で崩さず、連結で貯金を作り、原価計算は差異の原因を短い日本語で説明して部分点を拾う。見直しは根拠に黒丸を付けるだけに限定し、深追いはしない。答案を閉じた瞬間、完璧ではないけれど、今回は積み重ねた通りに動けたと思えました。

合格通知と、そのあと

番号を見つけたとき、声は出ませんでした。肩から重りが外れたように、静かに涙が出ました。職場では、月次の説明資料を私が作る機会が増え、監査法人とのやり取りも担当を任されるようになりました。科目合格がない私にとって、簿記一級は社内の信頼を取り戻すための最初の旗でした。年収がすぐに跳ねるわけではありませんが、評価面談で初めて具体的なキャリアの話が出たことが、何よりの変化です。

独学サポートがくれたもの

正解を増やすより先に、迷い方を減らす方法を教わりました。順番を決め、型を決め、毎日を同じリズムで回す。質問に詰まったら早めに投げ、翌朝には再スタートできる状態に整えておく。独学の自由と、外部の客観性が同居する環境は、十年迷ってきた私の性格に合っていました。自分の弱点を自分の感覚で当てにいくのをやめたことが、いちばんのブレイクスルーだったと思います。

これから

税理士試験を諦めるつもりはありません。ただ、登り方は変えます。簿記一級で得たのは、知識よりも再現性でした。朝の時間を守り、型から入って、理由を説明できるところまで仕上げる。このやり方で次の一段を登っていきます。十年かかった遠回りは無駄ではありませんでした。ここからは、歩幅をそろえて進みます。

おわりに

結果が出ないまま続けるのは、想像以上に心を削ります。けれど、やり方を変えれば、景色は変わる。簿記一級は、私にとって敗戦処理ではなく、反転の起点でした。あの合格通知は、肩書だけでなく、時間の使い方と自分への信頼をもう一度つなぎ直してくれました。静かに、丁寧に、次の夏へ向かいます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次