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偏差値40、Fラン女子大生の私が、「日商簿記2級」で大手税理士法人の内定を勝ち取った話

「勝ち組」なんて言葉、私には一生縁がないと思っていました。

大学4年間を絶望のままにしてしまうのか。 それとも、「資格」という名の最終兵器で人生をロンダリングし、勝ち組に返り咲くのか。 それを決めるのは、他の誰でもない、あなたの挑戦する意志です。

目次

大学受験の壮絶な失敗

「おめでとう!」

桜が舞うキャンパスで聞こえてくる祝福の声が、なぜだか全部、私への当てつけに聞こえた。第一志望だったニッコマに落ち、滑り止めの、いわゆる「Fランク大学」の入学式。周りがピンクや水色の春色なのに、私の心だけが分厚い雲に覆われたモノクロの世界にいた。

授業が始まっても、その色は戻らない。周りがサークルや飲み会でキラキラした大学生活を送る様子をSNSで眺め、私はといえば、意味もなくスマホの画面をスクロールするだけ。講義室の椅子に座る私は、ただの背景。いてもいなくても、誰も気づかない。そんな無力感に、息が詰まりそうだった。

大学3年の春。相変わらずの無気力な私を見かねたのか、ゼミの教授に呼び出された。 「君、このままだと本当にまずいぞ。何か一つでいい。胸を張れる武器を作りなさい」

その言葉が、妙に胸に突き刺さった。

その足で、ふらりと立ち寄った大学の書店。自己啓発本や就活対策本が並ぶ中、なぜか私の目に飛び込んできたのは、地味で、分厚い『日商簿記2級』のテキストだった。パラパラとめくると、知らない漢字と数字の羅列。でも、その「正解か不正解しかない」という白黒ハッキリした世界が、灰色の日々を送る私には、なぜかとても魅力的に見えたんだ。

「これだ」。根拠のない直感だった。でも、何かにすがりたかった私は、そのテキストをレジに持っていった。これが、私の人生を懸けた、泥沼の戦いの始まりだった。

独学という名の暗闇と、三度の敗北

「簿記なんて、ただの計算でしょ?」 最初の私は、完全にナメていた。独学だから、周りに仲間もいない。ひたすら分厚いテキストと向き合う日々。でも、「ここから抜け出したい」という一心で、友達が遊んでいる時間も、私は図書館の固い椅子に座り続けた。

そして臨んだ、一度目の試験。結果は、惨敗。テキストを一周しただけの薄っぺらい知識は、本番の応用問題の前では全くの無力だった。画面に表示された「不合格」の三文字が、私のダサいプライドを粉々に打ち砕いた。

二度目。今度は問題集も買って、ひたすら解いた。でも、また「不合格」。分かった気になっていただけだった。なぜこの仕訳になるのか、その本質を理解していなかった。

三度目。「三度目の正直」なんて言葉を信じて、これまでで一番勉強した。もう落ちるはずがない。そう思っていたのに、結果は同じ。「不合格」。

さすがに心が折れた。部屋に帰って、積み上げたテキストの山を床に叩きつけた。「なんでよ!なんで私だけ…!」って。もう無理だ。私みたいなFランの学生が、そもそも挑戦すること自体が間違いだったんだ。本気でそう思った。

「敵は、過去問の中にいる」

数日間、何も手につかなかった。でも、このままじゃ、教授の言った通り「本当にまずい」人間のままだ。諦めきれなかった私は、泣きながら不合格の原因を分析した。そして、ある一つの真理にたどり着く。

それは、**「過去問を、敵の思考が読めるまでやり込む」**ということ。

それからの私は、新しい参考書を一切買うのをやめた。ただひたすら、過去10回分の過去問題を、ボロボロになるまで解き続けた。1回目は時間内に解けず、2回目はケアレスミスだらけ。でも、3回、4回と繰り返すうちに、問題の「声」が聞こえてくるようになった。

「ああ、この聞き方、前の大問3でもあったな」「このひっかけ問題、出題者はここで私を迷わせたいんだな」

問題のパターン、出題者の意図、時間配分の最適解。それらが、パズルのピースがハマるように、頭の中で組み上がっていく。小手先のテクニックじゃない。これは、敵のすべてを知り尽くした者だけが持てる「本質的な力」だった。

勉強時間は、トータルで450時間を超えていた。そして、運命の四度目の試験日。会場に向かう足取りは、不思議と軽かった。目の前に置かれた問題用紙は、もはや「敵」ではなかった。何度も戦い、知り尽くした「戦友」のようにさえ思えた。

人生逆転の切り札

結果は、合格。自分の番号を見つけた瞬間、大学のベンチで、一人声を上げて泣いた。それは悔し涙じゃなく、モノクロだった私の世界に、色が戻ってきたような、そんな嬉し涙だった。

たった一枚の合格証書が、私を別人にした。就職活動の面接で、学歴を突っ込まれても、もう卑屈になる私はいなかった。

「はい、私は決して優秀な学生ではありませんでした。簿記の試験も、3回落ちています」

そう正直に話してから、続けた。

「でも、私はこの試験から、自分の弱点を分析し、それを克服するために計画を立て、実行し続ける力、そして何より、何度失敗しても立ち上がれる粘り強さを学びました。この450時間の経験こそが、私の最大の武器です」

面接官の見る目が変わったのが分かった。彼らが評価したのは、「日商簿記2級」という資格そのものよりも、その裏にある私の「物語」だったんだ。

そして、私は国内でも最大級と言われる税理士法人の内定を掴み取った。あの入学式の日に、灰色の世界でうつむいていた私には、想像もできなかった未来だった。

もし今、あなたが過去の失敗や今の環境で、自分の可能性を諦めかけているなら、これだけは伝えたい。

人生は、たった一つのきっかけと、正しい努力で、何度だって上書きできる。大切なのは、どこから始めるかじゃない。どこを目指して、どう歩くか、だ。私の武器は「偏差値」じゃない。「450時間、諦めなかった」という、泥臭いプライドだ。

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